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【インタビュー】「教えることは私の天職」Techmateメンター田村さん

マインドテックが提供しているメンターサービス「Techmate(テックメイト)」のメンターとしてご登録いただいている、工学博士AI研究者の田村さんに、これまでの経歴や、これから勉強を始めたい人へ伝えたいことなどを伺いました。

【プロフィール】
田村さん
地下水流動流出解析研究者・AI研究者・ブロックチェーン研究者

学生時代から地下水流動流出モデルを研究、20年前からAIを活用したモデルパラメータの多目的最適化を研究。
近年は上場企業にてRPA事業、AI事業立ち上げのリーダーを務める傍ら機械学習関連執筆、セミナー講師に従事。
現在はブロックチェーン関連企業や樹脂加工企業への技術支援,数学書籍の執筆,医療系ソフト開発など多角的に活動中。

キャリアのスタートは高校教師

ー田村さんはエンジニアからキャリアをスタートされたんですか?

田村:全然違いましたね。東京大学を出てから新卒で高校の教員になりまして、それから29年間、物理を教えていました。

教員になるって選択肢は、実は小学校の頃からあったんですよ。でも大学に入ってからは、大学の教授をやりながらバイトで予備校の教師をやるくらいがいいかなって思ってたんです。
ところが、大学4年間の野球部生活が終わって、さあ自由な学生生活だ、遊ぶ金もいるなって思って、栄光ゼミナールで塾講師のバイトを始めたんです。そこではまりましたね。

野球部時代の田村さん(東京六大学野球秋季リーグ戦)

田村:栄光ゼミナールって教育実習もあるんですよ。黒板の使い方から授業の仕上げまで、普通の学校の教員よりはるかに高いレベルで授業指導をしていて。

なんて面白いんだろうと。教えることは私の天職だとも思いました。それが教員になった理由ですね。

ー教えることは田村さんにとってのライフワークになっていらっしゃるんですね。

田村:教員を辞めるときは、もう教えることに飽きた、だからあまり教育したくない、と思ってたんですけど、結局自分が社会に貢献できるのはここかなって。

実際に、教員を辞めた後に行った会社でRPA(Robotic Process Automation)の事業を立ち上げた時に、マーケティング部の人たちから「わからないから説明してくれ」って言われて、授業をやったんですね。「パワポ芸人」と自分では言ってるんですけど。

そしたら「こんな上手く喋れる人他にいない!」ていう感じになっちゃって、そこから会社のセミナーで講演したり、いろんなイベントやカンファレンスに駆り出されるようになって結局先生っぽくなっちゃったと。

うん、でもやっぱり教えるのが好きなんだなぁ。わからなくて詰まってる人に手を差し伸べたくなっちゃう。

そしてAI研究者へ

ーAIにはいつ頃出会ったんですか?

田村:きっかけは教員時代にまで遡るんですが、当時、早稲田大学を受ける子たちを生徒指導してるうちに、自分も受験したくなっちゃいまして。3か月間勉強して受けたら早稲田の文学部に受かったので、高校教師をやりながら4年間大学に行って、西洋哲学と言語哲学を学びました。

そのまま30代の時に、今度は都立大の大学院の博士課程に入りまして。(それも教員やりながらでした)そこで地下水の研究に取り組んだんです。

この地下水流動流出モデルを作る中で、段々パラメータが増えてきて手作業でパラメータ調整をやるのがしんどくなってきたので、そこでなんとか自動化できないかというところで、2000年ごろにAIの世界に出会った。これはAIを使って最適化するのが一番だと思いましたので。

これがAIの道に入るきっかけですね。

Al仲間との交流

田村:昨今のAIブームって画像解析から始まって、自然言語解析も成功事例が出てくるんですね。それが今の第三次ブームって言われるんですけど。

この時になって早稲田の文学部で学んだ言語哲学がすごい役に立ちましたね。すごく回り道したようなんだけども、全てが役に立っちゃって。学校の先生やっていたのもまさに。

ー田村さんは今はどのような仕事に携わっているんですか?

田村:昔の同僚が誘ってくれて、今はブロックチェーンの会社にいます。AIじゃなくてブロックチェーンをやってくれということで。普通引き受けないですね、私全く畑違いですから(笑)

だけど長くAIをやっていて、量子コンピューターもやっていて、これでブロックチェーンを極めればたぶん免許皆伝だなって算段があって。

最初の3ヶ月はほぼ自分の勉強に当てて、4か月目からお客さんの前でレクチャーするくらいのところまでいきました。

私の場合、学習の時間がすごいかかっちゃうんですね。納得するまでえらい時間が掛かる人なので、休みの日は1日10時間とか勉強していました。

田村さんの愛読書

いかに相手をワクワクさせるか

ーメンターになろうと思ったきっかけは何ですか?

田村:元々オンラインでマンツーマンで社会人向けのメンターみたいなのをやったり、中高校生向けのオンライン家庭教師も実はコロナのずっと前からやっていたんですよ。

その人の必要なところに、必要な無駄の無い知識を与えてあげられるっていうのがマンツーマンのいいところですよね。集団授業だと、他の生徒さんに遠慮して質問できない事もありますからね。

その経験もあってオンライン家庭教師の威力を知っていたので、メンター登録しました。

ー教える時に気を付けていることがあれば教えてください。

田村:怒らないんですよ、絶対に。怒られてやる気になる奴なんていないじゃないですか。

恐怖に駆られてやるだけで後々伸びないから、とにかく餌を撒くことだけやっていました。これをやったらこういう世界があるんだよていうのをどんどん教えてあげて。

やっぱり、いかにワクワクさせるかですね。

タイへの出張

根本が大切

ーワクワクさせるコツがあればぜひ教えていただきたいです。

田村:そこら辺は教育の基本なんだけど、わかるってことですよね。わかんないとつまんないので。

ただ教育の実績が無い方だと、完全にわからせようとして細部まできっちり教えちゃったりするんですよね。

特に機械学習って枝葉がすごい多いじゃないですか。細かいことはいろいろ知ってるんだけど、本当の大元の重みを更新するには勾配の情報が必要、というのがニューラルネットワークなんですけど。

その本当の根本のところがわかんないと、わかんないままなんですね。

そこで私が考えているのは、まず枝葉をバッサバッサ切り落とすんです。
一方、それと一見矛盾するようですが、どんなに細かくても数学的に、全部の成分の式をしっかり書いてやっています。そうすると体が覚えますよね。

すると今度ね、誤差から逆伝播していって重みを更新するということが、枝葉の葉がどこの部分で、これが葉っぱでこれが幹だってっていうのがバッチリわかるようになるんですよ。

幹が出来ちゃえばあとは葉っぱが綺麗に付くんです。幹が完全に出来てないと葉っぱをつけても落ちちゃうんですね。枯れ木に変わっちゃうんです。

ーどういった経験からその考え方がうまれたんでしょうか?

田村:29年間ダテに教員やってなかったんですよ。教員時代は、学部としては文系が多い付属の学校に居たんですね。だから文系の子に理論物理を教えるんです。

私実験が嫌いなんですね、実験は実は理解を妨げるんですよ。正に葉っぱがいっぱい出てきちゃってね。

モチベーションとしては良いかもしれないけど、理屈がわかれば実験はやらなくても良いんですよ。

私が化学を教えるときはエネルギーレベルの細かい電子軌道の話するんです。そうすると周期表もバッチリわかるし、それによって性質が何故変わるのかがわかる。

やっぱり大事な幹の所は情け容赦なくキッチリやりたい。葉っぱは後からつけるということですね。これは私徹していますね。

逆にそうやらないと、メンタリングでも使ってるテキストに載っている詳解ディープラーニングっていうのは、自力で読んでもさっぱりわかんないと思いますね。

家族でよく行く大洗サンビーチにて

まずは理論から勉強しましょう

ーこれからAI勉強を始めたいという方へのメッセージをいただけますでしょうか。

田村:AIはコードを書いても勉強できないよってことですね。よく技術者で成功した人はコード書いてなんぼだって言うんですけどね。

確かに技術者はそうなんだけれど、データサイエンティスト系だとか上流工程やる人がコードからやると本質が見えないまま終わってしまう可能性があるので、コードを書く前に理論を勉強しなさいと。

稼げるまでは早いんですよ、コードからやった方が。でも大きく稼ぐなら理論からやったほうがいいですね。

あとは短時間でも継続すること。電車の中ででもいいんです。私もAIやデータサイエンス系については通勤電車の中で随分勉強しました。

そしてやっぱり、どの分野に行っても技術者が行き詰まっているのって数学なんですよね。

でも、ニューラルネットワークで使ってる数学って実はすごく易しくて、実は高校数学レベルなんですよ。

ほとんどが数Ⅲまでの勉強で、下手したら数Ⅱまでの知識でできちゃうので、是非そこまでは我慢して専門誌を読んで、数式も出てくるけど飛ばさないでちゃんと理解するようにしてください。

ただちょっとそれを、例えば文系の人がそれをやろうとすると過酷ですね、相当ね。
そこでやることは何かというと。

一つはチャート式の高校数学の参考書を買ってきて自学自習でやると。
あるいはTechmateでメンタリングを受けるかの2択ですね(笑)

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