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【インタビュー】「”AIを知りたい”その思いさえあればいい」Techmateメンター松井宏樹さん

マインドテックが提供しているメンターサービス「Techmate(テックメイト)」のメンターとしてご登録いただいている、AIアーキテクト松井宏樹さんに、これまでの経歴や、これから勉強を始めたい人へ伝えたいことなどを伺いました。

【プロフィール】
松井 宏樹
AIアーキテクト

北陸先端科学技術大学院大学 博士後期課程修了。博士(情報科学)
産業技術総合研究所にて災害時の情報共有を目指すプロジェクトに交通シミュレーションの研究で参加、その後、金融市場を対象とした分析やデータ配信、医療検査装置・介護ロボットの研究開発と、複数のスタートアップ企業にてAI・ITの専門家として研究開発・企画営業の両面を担当。
近年は研究開発だけでなく、AIに関する人材育成、企業でのAI活用のアドバイザーを務める。

研究、営業、教育。AIを通して知った、新たな発見

ー松井さんは学生時代にAIの研究を始められたんですか?

松井:大学時代は生物物理を学んだのち、大学院で専攻を情報科学に変更しています。その際に所属した研究室でAI研究を始めました。本格的にプログラミングを始めたのも大学院に入ってからなので、そういう意味ではAIやITに触れた時期は遅かったですね。

当時は今に比べてPCのスペックが低く何かと不便でしたが、プログラミングに関しては0から1を作り出すモノづくりの観点で動かせるので、楽しく学習できていました。

ー専攻を生物物理から情報科学に変更されたきっかけはあったんですか?

松井:当時いくつかの大学の説明会に行ったのですが、私が勘違いして情報系の説明会に申し込んでしまったんです(笑)ただ聞いてみたら研究内容も面白そうだったのでそのまま進学を決めて、社会シミュレーションをテーマに研究をしていました。

社会シミュレーションは社会で起こりえる現象を再現して要因を見つける研究テーマです。
社会は人の集まりで、人々が行動を起こすことで社会全体に現象が現れます。必ずしも権力者の一声で変わるわけではなく、株価や為替も全体の行動が相互に作用したとき、何かしらの結果が発生します。道路の渋滞などがわかりやすい例です。

ーその後初めての仕事はどんな仕事でしたか?

松井:産業技術総合研究所にて災害時の情報共有を目指すプロジェクトに交通シミュレーションの研究で参加しました。

当時は阪神淡路大震災や新潟中越地震が起こったあとの時期。プロジェクトでは”減災”と”情報共有”の2つをテーマに、災害時の対策やIT技術を使用した情報提供を中心に研究していました。

分野の違う専門家同士協力することの難しさ、自治体と協力して研究の効果が見えることへの面白さなど新しい発見が多く、非常にエキサイティングな経験が出来ました。

1つの目的に向かって皆で動く分、遅くまで残ることも多かったですが、成果が出ると皆で声を上げて喜んでいましたね(笑)文化祭前夜みたいなノリですが、楽しかったですし、初めて自分が社会の役に立ったと感じる貴重な経験でした。

ービジネス面の面白さも知るきっかけになったんですね。その後はずっとAI研究家としてお仕事をされていたんですか?

松井:その後は金融系のベンチャー企業、医療系の研究開発会社で働いていました。
特に医療系の会社では介護ロボットを扱っていたのですが、研究ではなく営業活動もしていました。

ー営業もされていたんですね!

松井:お客様にサービス説明する際の対処法やQ&Aを作ったり、営業活動の中で見つけた課題を開発側に相談したりと、コンサルティング・PMみたいな動きが中心でした。

先ほど述べた交通シミュレーション研究の際に、ユーザーの反応や効果を知る事への面白さを知っていましたし、技術がわかる営業として研究以外のビジネス経験を積めたことは大きかったと思います。

ーその後はAI企業で教育事業にも携わっていますね。

松井:当時所属していた医療系企業では、情報系ではなくハードウェアや光学が専門分野でした。自分の専門は情報系だったので、次のキャリアをどうするか悩んでいた際に研究所時代の先輩に誘われたことがきっかけでした。

その会社では研修教育事業をしており私も講師として参加しましたが、それとは別に営業もやりたいと志願し、営業+講師としてAIに携わりました。

AIへの理解だけが、真の専門家ではない

ー松井さんがTechmateでメンターをやろうと思ったきっかけについて教えてください

松井:AIを業務に活かしたいと考える方々に、もっと踏み込んだアドバイスをしていきたいという考えがあり、それがTechmateのサービスとマッチすると感じたことがきっかけです。

当時研修という形で数十名規模の会場で講師をすることが多かったのですが、講師という立場はどうしても一方通行になりがちです。受講した人が今後AI領域で活躍してくれそうだというイメージがしにくく、実際のアンケートでも実務にどう生かせばいいか明確になっていないという反応がありました。

ただ研修における個々人のフォローには限界があり、抽象的な概念ではなくAIをより深く学びたい人に対する専門サポートが必要になる。その課題をTechmateであれば解決できると思い、メンターをやろうと決めました。

ー実際にメンターをやってみてギャップなどはありましたか?

松井:まだやり始めたばかりですが、個別で話を聞いてアドバイスができることはすごくやりがいになっています。

通常の研修で質問をしてくれる人もいますが、その時にできる質問は限られています。メンターであればAIを深く知りたい、知った後にフィードバックしてもらいたいというメンティーさんの希望を叶えることができます。
業務の中で感じる課題や困りごとを解決できるチャンスが自分にも与えられているというのは大きいですね。

ー研修とは違い、メンティーさんから想定外の質問が来ることもあると思いますがいかがですか?

松井:例えば「今のプロダクトにAIを実装したい」というテーマで面談しているときに、そんな角度!?みたいな質問はもちろんあります(笑)AIは活用範囲も幅広く、どれだけ専門家であっても全部知ることはなかなか難しいです。ただこれまで様々な業種でAIに携わってきたので、初めて聞いた事例でもメンティーさんの状況をヒアリングすることで意図を理解できます。

私の考えですが、AIの理論を学んだだけの人が専門家ではないと思っています。
AIの基本理論は勉強が必要ですが、これまでの実務経験から背景や目的を踏まえて「このサービスはいけそう」「これはダメそう」という感覚が働くようになります。逆にその経験がないと、ビジネス上むずかしい点があるのに出来そう!と早合点してしまうかもしれない。限られた時間や制約の中で最適解を出すためには、経験のある人にアドバイスをもらうのがよいと思います。

ー研究だけでなくビジネスサイドを経験したからこその強みですね。

松井:私の役割は、社会に対して実装してきた技術やケーススタディ、クライアントとの折衝の中で経験したことを適材適所でアドバイスすること。AIという切り口から、技術面とビジネス面の両側面をカバーしていることは特長かなと思っています。

メンターとしての活動以外にAIエンジニア向けの研修もしていますが、そういう人たちも最終的にはビジネスでの活用を求められている方々なので、何かしらのビジネス的観点は適宜取り入れたりしています。

正しく導くために、ストップをかける

ーメンティーさんに必ず伝えている事はありますか?

松井:これだけ!というのはありません。ただ伝えたいことがありすぎて聞くより喋る方が多いときもあります(笑)

その際は内容が伝わらないと意味がないので、例え話を交えて分かりやすく伝えることには気を付けていますね。質問に対してYES/NOのみで答えてしまうと記憶に残りにくいので、その根拠も正しく伝えるようにしています。

ーちなみに松井さんの教育スタイルは厳しいか優しいかだとどちらですか…?

松井:圧倒的に甘々ですし優しく教えてますよ(笑)
怒られても伸びないというのが持論なので、学びたい方々を出来るだけ丁寧に育てたいと思っているんです。

ただ優しい=NOと言わない。という意味ではありません。
例えばAIが適していない課題に無理やりAIを使って実装したり、AIに対する認識を履き違えていれば、それは違う。効果が見込めない。とあえてはっきりと伝えます。

メンティーさんが根拠なく成功を信じている場合には、専門家としてしっかりストップをかける。うっかり本筋じゃない所に進んでしまう前に、なぜそう思ったかを質問して改めて考えてもらったり、なぜそれがダメなのか?を説明するようにしています。

気軽に貴重な体験を

ー松井さんが考えられる、今後のAI業界で求められる人物像はありますか?

松井:あくまで一例ですが、いかにAIを理解し、ビジネスに当てはめることが出来るかという観点はこれからも求められる姿だと思います。

AIブームは少し落ち着きましたが、これからも発展していく技術であることは間違いないです。私自身、災害時の交通、金融、医療と色々な分野でAIに携わりましたが、AI活用の糸口はまだまだ沢山ある。チャンスを正しく拾って、ビジネスの軌道に乗せられる人はAI関係なく伸びる人材ですね。

ー松井さんご自身の今後の展望についても教えてください

松井:20代はAI研究、30代は多業界へのAI活用や営業、40代には教育という形でAI分野を渡り歩いてきました。でもこれは元々計画していたわけではなく、”面白そう!”という気持ちでやってきたので、今後どうなりたいという展望は特に無いんですよね。

ただモノづくり、人の役に立つ、ユーザーに喜んでもらう事の重要さや楽しさは今後も感じていきたいので、その領域で自分の技術を活かしていきたいです。
またメンターとしては、この人に頼んでよかった、話を聞けて助かったと言われるよう、全力で教えていきたいです。

ー最後に、これから出会うメンティーさんへのメッセージをお願いします。

松井:趣味でも仕事でも動機は何でもいいので、専門家に話を聞けるという経験を是非体験してほしいです。

最初に私がメンターやろうと思ったきっかけにも関係しますが、周りの人にアドバイスをもらえない環境だと大変なことも多いと思います。Techmateは気軽に体験もできますし、必ずしも仕事関係じゃないといけないというルールはなく、教養や趣味で知りたいという方でも参加できるサービスです。

調べて終わりではなく専門家に直接話が聞けるのは貴重な経験だと思うので、”AIを知りたい”という思いをぜひTechmateで叶えてほしいです。

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